お子さまは、大人よりも耳鼻咽喉科領域の疾患にかかりやすく、何度も繰り返し病気を発症することもよく見られます。鼻とのどだけでなく、耳と咽頭も耳管によって繋がっていますので、例えば鼻かぜをひいたときなど、鼻から侵入した細菌やウイルスが耳に入り込み、中耳炎に罹ったりします。気になる症状がある際には、お早めに受診するようにして下さい。

「耳」の病気

• 急性中耳炎

  急性に発症する中耳の炎症性疾患で、多くは上気道感染から耳管を経由して生じます。
  乳幼児（特に3歳以下）によく起こる病気で、肺炎球菌やインフルエンザ菌などが原因になることが多いです。
  発熱や耳の痛み、耳の閉塞感、難聴などの症状があります。
  お子さまが不機嫌になったり、耳を触るような行動もみられます。

• 滲出性中耳炎

  中耳腔内に滲出液が貯留することにより、難聴や耳の閉塞感が起こります。
  小児（特に乳幼児）に多く、高齢者の方も起こりやすい病気です。
  発熱や耳の痛みを伴わないため、お子さまの場合、自覚症状を訴えないことも多いです。
  テレビの音を大きくする、呼んでも返事をしない、などといったことで発覚することがあります。

• 急性乳様突起炎

  急性中耳炎の重症化や、慢性中耳炎の急性増悪に続発した合併症です。
  急性中耳炎発症後2～3週の乳幼児に起こることが多いです。
  持続する発熱、全身倦怠感、伝音難聴、耳痛、耳後部の皮膚の発赤、腫脹、耳介しょう立（耳が立って見える）などの症状が起こります。
  近年では、あまりみられない病気です。

「鼻」の病気

• 急性鼻炎

  鼻炎は、何らかの原因で鼻粘膜の炎症をきたすもので、一般的な症状は、鼻漏（鼻水がたくさん出る）、鼻づまり、くしゃみです。経過により急性と慢性に分けられます。
  急性鼻炎は、大部分はウイルス感染によるかぜ症候群の一症状としてみられ、（いわゆる鼻かぜ）
  経過は1～2週間ほどです。

• アレルギー性鼻炎

  室内の塵ダニが原因で起こる通年性アレルギー性鼻炎と、スギ・ヒノキなどの花粉が原因で起こる季節性アレルギー性鼻炎があります。
  くしゃみ、鼻水、鼻づまりがみられます。
  小児（3歳～10歳代）で発症した場合、喘息やアトピー性皮膚炎を合併することもあるため、注意が必要です。

「その他」の病気

• 流行性耳下腺炎

  一般的に「おたふくかぜ」と呼ばれます。
  小児（特に3歳～6歳）に多く、両側あるいは片側の耳下腺の腫れや疼痛がみられます。
  2週間ほどの潜伏期があり、腫れは7～10日持続することが多いです。
  ウイルスの排出は発症前から始まり、発症後5日程度までは排出量が多いので注意が必要です。

• 反復性耳下腺炎

  小児（10歳以下）に多い病気です。
  原因は不明ですが、耳下腺の導管が未発達であることや拡張していることによる細菌感染に起因すると言われています。
  両側または片側の耳下部の腫脹、疼痛などの症状が起こります。

• クループ症候群

  3歳以下の乳幼児に多い病気です。原因はさまざまですが、ほとんどはウイルス感染です。
  鼻水や発熱などの風邪症状が先に起こることが多いです。
  夜間に発作的な吸気性喘鳴（ゼェゼェとした息）、犬吠様な咳（犬が鳴くような咳）が起こります。
  気道への刺激により症状が悪化するため安静にし、補液・加湿することが大事です。
  
  

• 小児の睡眠時無呼吸症候群

  近年、花粉症をはじめとするアレルギー性鼻炎が増加し、長びく鼻炎や鼻づまりにより、副鼻腔炎（蓄膿症）が原因にもなっています。その他にも、アデノイド増殖症（咽頭扁桃の肥大や炎症）の合併症としてみられることもあります。
  子どもの生活習慣病も増加し、肥満により気道が狭くなることも原因の一つと言われています。
  以下のような症状がある場合には、ぜひ一度ご相談ください。

  • 大きないびきを繰り返す
  • 呼吸が数秒間止まる
  • 眠りが浅く、何度も起きる
  • 座ったまま寝るなど変な寝姿勢
  • 陥没呼吸（呼吸時にみぞおちがペコペコへこむ）
  • 咳き込む
  • 寝汗、夜尿