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いびきの症状・睡眠時無呼吸症候群(SAS)

当院では4月開業から、睡眠時無呼吸症候群の検査及びCPAP導入、管理を開始いたします。
ご希望の場合は、お気軽にご相談ください。

1.睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?

SAS(睡眠時無呼吸症候群)は、寝ている間に呼吸が止まったり、弱くなったりする病気です。
これが続くと、体がしっかり休めずに、昼間に眠くなったり、体の調子が悪くなったりします。

SASには、大きく2つのタイプがあります:

  1. 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS) → のどの空気の通り道が狭く塞がるタイプ
  2. 中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS) → 脳がうまく呼吸の指令を出せなくなるタイプ

2.SAS(特にOSAS)の発生率

  • 50代の男性の10~20%、女性の約10%がSASの状態であるといわれています。
  • 全ての成人では14%程度がかかっていると想定されています。
  • 昼間に強い眠気を感じるSASの人は、男性で約5%、女性で2~3%。
  • 高血圧や心臓の病気を持っているSASの人は、男性で約15%。

中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS)の発生率

  • 50歳くらいの男性で1%、女性で0.1%とかなり少ないです。
  • 一方で心不全の人に限ると11.7~49%**と、かなり多くなります。

3. SASの症状

■OSAS(のどがふさがるタイプ)の症状

  • 寝ている間大きないびき、息が止まる、苦しくて目が覚める
  • 昼間眠気が強い、集中できない、疲れやすい、イライラしやすい
  • 体への影響 → 高血圧、心臓病、糖尿病のリスクが上がる

■CSAS(脳の指令ミスで呼吸が止まるタイプ)の症状

  • 寝ている間息が止まる、夜中に何度も目が覚める、呼吸が苦しい
  • 昼間眠気、疲労感、頭痛
  • 特に心不全の人に多い(チェーンストークス呼吸と呼ばれる特有の呼吸が起こる)

4. SASを治療しないときのリスク

SASを放っておくと、心臓や血管、肺などの臓器に負担がかかり、内科的疾患にかかるリスクが上がります
特に次のような病気のリスクが高くなります:

  • 高血圧 → 血圧が上がって心臓や血管に負担がかかります
    軽症では発症リスク1.33倍、中等症で1.78倍、重症で1.96倍というデータがあります。一方、CPAP(持続陽圧呼吸療法)治療群では高血圧発症リスクが低下します。
  • 心臓病→心不全のリスクが増加し、心不全患者ではOSA(特にCSAS)の有病率が高い心房細動のリスクも上がり、狭心症・心筋梗塞も無呼吸による低酸素ストレスが動脈硬化を進行させ発症しやすくなります。              
  • 脳卒中 →動脈硬化や不整脈の増加でリスクが上がります。
  • 糖尿病 → 血糖値のコントロールが悪くなります。
  • 認知症 → 脳への酸素不足でリスクが高まる

早めに治療すれば、これらのリスクを下げることが可能です。

5.睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査の流れ

SASの診断にはいくつかのステップがあります。


Ⅰ. 問診と質問紙

  • まず医師が問診を行い、SASの疑いがあるか確認。
  • 質問紙を使うこともあります。

Ⅱ. 簡易検査(OCST:検査施設外睡眠検査 アプノモニター検査)

  • 自宅で行える簡単な検査。
  • 鼻の気流、呼吸の努力、血中酸素濃度などを測定。
  • SASの可能性が高い場合、さらに詳しい検査(PSG)を受ける。
  • 注意点:中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS)の診断は困難で、OSASの診断のみが可能。

Ⅲ. 終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG:Polysomnography)

  • SAS診断の最も確実な検査。
  • 病院や睡眠クリニックで一晩泊まり、以下の項目を詳しく測定。
    • 脳波、眼球の動き、筋肉の動き、心電図、呼吸の様子(気流、呼吸努力)
    • 血中酸素飽和度​

Ⅳ. 診断基準

■閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の診断基準

 AHI(無呼吸低呼吸指数)が5回以上で、かつ以下のいずれかの症状がある場合:

  • 日中の眠気、集中力低下、睡眠の質の低下
  • 大きないびきや窒息感
  • 高血圧、心血管疾患などの合併症がある  または、AHIが15回以上あれば、症状がなくても診断される​。

■中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS)の診断基準

 AHIが5回以上で、その50%以上が中枢性の無呼吸・低呼吸であること。
 CSB(チェーンストークス呼吸)など特有のパターンが見られる場合、さらに詳しく検査する。


6.治療法

■閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の治療法

OSASの治療は、症状の重さや原因によって異なります。大きく分けて、生活習慣の改善・機器療法・手術のアプローチがあります。


①生活習慣の改善

軽症のSASや治療を補助する目的で、以下のような方法が推奨されます。

  • 減量: 肥満がSASの大きな原因の一つであり、体重を減らすことで症状が改善する可能性がある。
  • 禁酒・禁煙: アルコールはのどの筋肉を弛緩させ、SASを悪化させる。喫煙も気道の炎症を引き起こし、リスクを高める。
  • 睡眠時の体位管理: 仰向けで寝ると舌が喉に落ち込みやすいため、横向きに寝ることで症状が軽減することがある​。

② 機器を使った治療

(1) CPAP(持続陽圧呼吸療法)

  • 最も一般的で効果的な治療法。CPAP装置を使い、鼻や口に装着したマスクから一定の空気の圧力をかけて気道を開いたままにする
  • 中等度~重症のOSAS患者では第一選択の治療
  • 長期使用によって高血圧や心血管疾患のリスクを下げる効果がある​。

(2) 口腔内装置(OA: Oral Appliance)

  • 軽症~中等症のOSASに有効。マウスピースのような装置を装着し、下あごを前に出すことで気道を広げる
  • CPAPを使えない患者に適用されることがある​。

③手術による治療

  • 気道を広げる手術が行われることもあるが、CPAPやOAが使えない場合の最終手段とされる。
  • 主な手術方法:
    • 口蓋扁桃・アデノイド切除(小児に多い)
    • 上気道形成術(のどの組織を切除して気道を広げる)
    • 顎顔面形成術(顎の位置を調整して気道を拡げる)
  • 効果は個人差が大きく、長期的な改善が見込めるとは限らない


CSAS(中枢性睡眠時無呼吸症候群)や心不全患者向けの治療法

①機器による治療:ASV(適応型サーボ換気療法)

  • 呼吸のパターンを自動的に調整し、適切な圧力を供給する​。

②薬物療法

  • 心不全に合併したCSAS患者では、心不全の治療薬(β遮断薬、RAA系阻害薬など)を適切に調整することが重要​。
  • 低酸素状態を改善するための酸素療法が行われる場合もあるが、効果は限定的

睡眠時無呼吸症候群(SAS)が心配な場合は、耳鼻咽喉科を受診してください

SASの中の大部分をしめる閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)を疑われる人は耳鼻咽喉科の診察を是非受けてください。また、検査を進める中で中枢性睡眠時無呼吸(CAS)が疑われた場合必ず、循環器内科の検査および治療が必要となります。


Ⅰ. OSASの主な原因は「気道の閉塞」

  • OSASは上気道(鼻・のど)の閉塞によって発生します。
  • のど(咽頭・軟口蓋)や鼻の構造に問題がある場合、耳鼻咽喉科が専門的な診察を行い、適切な治療を提供できます
  • 鼻の通りが悪いとCPAP(持続陽圧呼吸療法)をうまく使えないため、耳鼻咽喉科での診察・治療が重要​です。

Ⅱ. SASの診断には耳鼻咽喉科の視点が必要

  • 耳鼻咽喉科では、上気道の解剖学的評価が可能
    • 鼻閉(鼻づまり)口蓋扁桃肥大舌の大きさなどを診察。
    • 必要に応じて、内視鏡でのどや鼻の詳しい検査を実施。
  • CPAPが必要な場合も、鼻づまりやのどの異常を治療することで、より快適に使用できる​。

Ⅲ. 手術による治療の適応判断

  • CPAPや口腔内装置(OA)が合わない場合、手術が選択肢になる。
  • 耳鼻咽喉科では以下のような手術を行うことができる:
    1. 口蓋扁桃・アデノイド切除術(特に子供に有効)
    2. 軟口蓋形成術(UPPP)(のどの奥の組織を切除して気道を広げる)
    3. 鼻の手術(鼻中隔湾曲症の矯正、鼻腔拡張手術など)
    4. 舌の手術(舌の大きさや位置を調整する)
  • 手術によってOSASの症状が改善し、CPAPを不要にできる場合もある​。

Ⅳ. 耳鼻咽喉科の手術でQOL(生活の質)が向上する

  • 耳鼻咽喉科の手術は短期的にQOLを改善する効果が期待できる
  • 特に鼻の手術は、無呼吸そのものの改善がなくても、睡眠の質やCPAPの使用感を向上させる​。

Ⅴ. SASと関連する疾患の治療も可能

  • SASの原因として、鼻炎、副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎などの鼻の病気が影響することがある

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