鼻の症状(鼻水、くしゃみ、鼻づまり・鼻炎など)
鼻は吸う息の加湿、加温、チリを取り除くことや嗅覚、声の共鳴に関わる大切な器官です。鼻に起こる症状には、鼻炎、副鼻腔炎、鼻出血、鼻腔腫瘍、嗅覚障害などがあります。
おもな症状
鼻水がでる、鼻水に悪臭がある、鼻詰まりがひどい、鼻血が良くでる、いびきがひどい、鼻の奥が痛い、においを感じない、など。
鼻の病気
副鼻腔炎(蓄膿症)
副鼻腔とは、鼻腔(鼻の穴)につながる洞窟状の空間の総称です。
顔面を形作る骨で出来た空間に粘液を生み出す粘膜が貼っています。
4箇所に分類され、おでこの部分を前頭洞、頬の部分を上顎洞、鼻の奥を篩骨洞、喉の上の部分を蝶形骨洞と呼びます。
そこに炎症が起きる病気が副鼻腔炎です。慢性の副鼻腔炎は、蓄膿症と呼ばれることもあります。
炎症により発生した膿が鼻腔から細い筒状のトンネル(自然孔)から排泄されずに溜まって慢性化します。
一般的な治療方法は投薬治療ですが、投薬治療で改善しない場合は手術になることもありますので、早期の診断が重要です。
好酸球性副鼻腔炎
鼻腔ポリープによる鼻閉、嗅覚障害、粘稠性の鼻汁 をおもな症状とした病気です。通常の慢性副鼻腔炎と異なり、2型炎症と呼ばれる喘息と同様な仕組みでおこる副鼻腔炎となります。
現在日本で患者数が増加しています。成人以降に発症することが多く、喘息患者に多く見られます。
診断には鼻腔副鼻腔のCT検査、血液検査、鼻腔ポリープの生体組織検査が必要です
治療は点鼻ステロイドなど抗アレルギー治療をおこなっても改善しない場合、手術が検討されます。
デュピルマブをはじめとする分子標的薬の使用(自身で自宅で数週おきに皮下注射)が増加しており、特に手術を行っても再発した場合に有効です。
また検査の結果によって難病指定を受けることが出来ます。
鼻炎
鼻の粘膜に発生した、急性または慢性の炎症のことです。
鼻炎の原因は、感染、化学物質など様々ですが、特に、アレルギーによって発症した鼻炎を「アレルギー鼻炎」と言います。
放置すると慢性鼻炎や副鼻腔炎に移行することもありますので、長引く場合は、放置せずに、お早めに当院にご相談ください。
鼻出血
鼻出血(びしゅっけつ)とは鼻の中や鼻とのどの境目の粘膜や腫瘍から出血する病気です。原因不明の特発性のものと腫瘍があることや怪我や外傷、あるいは抗凝固薬(血がさらさらになる薬)などの薬剤性など明らかな原因がわかる症候性と分類されるものに分かれます。
原因の検査として鼻腔内のファイバースコープや採血検査が行われる場合があります。
治療として 出血部位の圧迫止血(ガーゼなど)や電気メスや薬剤による焼灼・凝固が行われます。
止血困難な場合、入院や全身麻酔での鼻腔手術、頸動脈手術が行われることもあります。
たかが鼻血とはいえ、出血の量や勢いによって、急激な貧血、血圧低下、流血による窒息を起こす可能性があり 緊急対応を必要とする場合があります。
鼻腔副鼻腔腫瘍
鼻腔に腫瘍が出来たときに出現する症状として、鼻閉感が挙げられます。
また他に鼻出血、嗅覚障害、滲出性中耳炎による難聴などの症状が起こる可能性があります。
鼻腔にできる出来物で最も多いものは 慢性副鼻腔炎による鼻腔ポリープです。
これは本当の意味での腫瘍性疾患ではなく、慢性的な炎症による粘膜の腫脹によって生じる病変です。
また、術後上顎嚢胞という、慢性副鼻腔炎に対しCaldwell-Luc法という口から行う手術を以前行った方にのみおこる腫瘤性病変もあります。
頻度は少ないですが悪性腫瘍も出現する場合があります。
扁平上皮癌、腺癌、腺様嚢胞癌といった癌、嗅神経芽腫という鼻にしかできない悪性腫瘍や悪性リンパ腫、悪性黒色腫といった他の部位にもできる悪性腫瘍もできることがあります。
その他、良性腫瘍として若年性血管繊維種、内反性乳頭腫、歯原性腫瘍(濾胞性嚢胞、歯根嚢胞、エナメル上皮腫)腫瘍に似た腫瘤性病変として血管炎に伴う肉芽、血瘤腫などがあります。
腫瘍性病変に関しては鼻腔ファイバーによる診察からCT、MRIによる画像検査、生体検査による病理組織診断を的確に行うことが重要です。
クリニックで診断、治療が完結することはまれであり、総合病院へのスムーズな連携が必要となります。
嗅覚障害
においの感覚に何らかの異常をきたす症状で「嗅覚異常」とも言われています。
嗅覚障害は風邪やインフルエンザなどの呼吸器系感染症や、花粉症など鼻炎・副鼻腔炎を原因として発生することがあります。嗅覚障害の治療は主に投薬による治療となります。